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高松地方裁判所 昭和48年(わ)127号 判決

本店所在地

香川県高松市玉藻町七番一五号

プラザ有限会社

代表者取締役

池脇清

本籍

岡山県岡山市小橋町一五五番地

住居

香川県高松市玉藻町七番一五号

右会社取締役

池脇清

大正一一年一〇月八日生

右の者等に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官藤井一廣出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社を罰金一五〇万円に、被告人池脇清を懲役四月に各処する。

但し被告人池脇清に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用(国選弁護人に支給した分)は被告会社および被告人池脇清の平等負担とする。

理由

(罰となるべき事実)

被告プラザ有限会社(後記判示日時頃の社名は有限会社大納言)は、高松市玉藻町七番一五号に本店を置き旅館業を営んでいるもの、被告人池脇清は、右会社の取締役として、同社の業務全般を統括総理している者であるが、被告人池脇清は、被告会社の業務に関し、法人税を逋脱しようと企て、公表経理上売上の一部を除外し、これによって得た資金を架空名義預金として、所得の一部を秘匿する等の不正な方法により、

第一、 被告会社の昭和四四年五月一日から同四五年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が一〇、三八四、九〇九円、これに対する法人税額が三、四二四、四〇〇円であるのにかかわらず、同年六月三〇日、所轄高松税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額を二、三三一、四五三円、これに対する法人税額を六五二、六〇〇円と過少に記載した虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、右正規の法人税額との差額二、七七一、八〇〇円の法人税を免れ、

第二、 被告会社の同四五年五月一日から同四六年四月三〇日までの事業年度において、その所得金額が一〇、三九二、八六五円、これに対する法人税額が三、五五六、五〇〇円であるのにかかわらず、同年六月三〇日、右税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額を一、二五八、四六二円、これに対する法人税額を三五二、二〇〇円と過少に記載した虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって右正規の法人税額との差額三、二〇四、三〇〇円の法人税を免れたものである。

(証拠の標目)

一、被告人池脇清の当公判廷における供述

一、収税官吏香川俊夫作成の告発書

一、高松税務署長作成の証明書(二通)

一、収税官吏香川俊夫作成の脱税額計算書(二通)

一、収税官吏作成の鶴尾武雄、喜田ユキヱ、古川祐甫、坂東準三、池脇君子、喜田義則、愿田光丸、堀上政美(二通)に対する各質問顛末書

一、被告人池脇清、田村徳雄ほか一名、原田導ほか二名、矢田次郎、西村武仁ほか一名、辻田悦夫ほか一名、藤井政昭、織田重臣(二通)、宮脇朝男(二通うち一通写)、河村喜行ほか一名、三登輝彦、石川武夫、木村光雄(七通)、三野雄一ほか一名、徳島財務事務局長、大屋敷賢、徳島市長武市一夫、国東理三郎、益田一弘、広尾尊、山田穣三、藤本寛治各作成の各証明書

一、被告会社の登記簿謄本

一、収税官吏久枝勝作成の「申告所得税および法人税の納付状況調」および「電話加入権調査事績」と題する書面

一、収税官吏香川俊夫作成の「代表者仮払金明細表」及び「プラザ有限会社にかかる簿外利益調査書」と題する各書面

一、藤本寛治、山本義賢、大畑輝子(二通)、植松明作ほか一名各作成の各上申書

一、被告人池脇清の収税官吏に対する質問顛末書(五通)および検察官に対する供述調書

(法令の適用)

被告人池脇清の判示各所為は、いずれも法人税法第一五九条第一項、第七四条第一項第二号に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四七条本文、第一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役四月に処し、情状により同法第二五条第一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとし、次に被告会社に対しては、その代表者である被告人池脇が被告会社の業務に関し判示各所為に及んだので法人税法第一六四条第一項、第一五九条第一項(第七四条第一項第二号)に従うところ右判示各所為は刑法第四五条前段の併合罪であるから、同法第四八条第二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金一五〇万円に処し、訴訟費用(国選弁護人に支給した分)については、刑事訴訟法第一八一条第一項本文を適用して、主文末項のとおりその負担を定める。

よって主文のとおり判決する。

(裁判官 山本義)

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